黒毛和牛海外輸出台湾挑戦中note過去投稿2019/03/29『日本黒毛和牛業界は生産規模を増やそうとしていますが、僕は無理して増やす必要は無いと考えています』

黒毛和牛の事

牛飼いは日本黒毛和牛の生産規模を拡大し続けると儲かると思いますか?

僕の答えはNOです。

日本黒毛和牛の生産規模拡大を進めるにあたってたくさんの障害が発生します。

1番は「労力」です。今でさえ牧場の人手不足は全然解消していないのに規模拡大をする事で今いる従業員にさらに負担を押し付けてしまえば従業員はやめてしまいますよね。従業員の負担が増えるとミスも増えます。

今後、日本黒毛和牛の生産現場のロボット化は進むと思いますが、まだまだロボットコストより人件費の方が安いので、生産現場のロボット化はもう少し先の10年後20年後の未来になると思います。

なので、今牛飼いさんがドンドン規模拡大しても労力のハードルは莫大な資金がない限りクリア出来ないでしょう。

2つ目は「家畜環境」。牛はウンチをします。たくさん牛が居れば毎日たくさんのウンチを処理しなければなりません。

今、生産規模を拡大している牛飼いさんの半分以上は糞尿処理が追いついていないのが現状です。

牛の糞尿処理が追いつかなければ牛の部屋はベチャベチャになり、病気が増え、生産性はガタ落ちですのでもちろん儲からないです。

僕の牧場は牛フンを堆肥化し自分の牧草地に土壌改良材として散布して、育った牧草をお母さん牛達に与えて循環させる家畜環境を創りました。

ある地域では堆肥センターという牛フンを引き取って堆肥化して土壌改良材として販売しているところも有りますが牛飼いさん全部をフォロー出来てはいません。

それに日本は国土が狭いので家畜を飼える規模が海外に比べて少なくなると思います。(生産規模で海外と戦うのは個人的におかしいと思っています)

3つ目は「生産システム」。今の牛飼いさんのデータ管理はようやくクラウドを使う人が出てきたくらいで、まだほとんどの人が手書きです(僕の牧場はクラウドを使ってます)

なので、このような状態で生産規模を拡大すると、

どこにどの牛がいるのか?
どの牛が妊娠していて、どの牛が種付けしていないのか?
治療をしている牛は何頭いて、全頭どういう状態なのか?
どの牛がどういう状態なのか?

1頭1頭しっかり把握するという基本的な事が出来なくなっていきます。
そうなると人為的なミスが増えてこちらも生産性はガタ落ちなので儲からないです。

では、なぜ日本黒毛和牛業界を仕切っているお偉いさん方は牛飼いにデメリットな日本黒毛和牛生産規模拡大を推し進めようしているのか?

それは簡単です。

その事については明日書きます。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

ではまた!

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